
はるかです

おまたせしました。
待望の第4作目です

(誰も待ってないw)
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登場人物
鈴木はるか・・・本作の主人公
広野由美・・・はるかの親友
川内鏡子・・・一女お菓子部部長
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おかしいな1 おかしいな2 おかしいな3

永遠ップ1 永遠ップ2

みーちゃんの仮装
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おかしいな4
《参考書2》
今日は、由美とお出かけ。楽しいな。
なんてのんきな事を言ってられない。約束の時間に遅刻しそう。
普段オシャレっ気が殆どないあたしだが、
なぜか目一杯可愛い格好をしようと奮闘中だ。
真っ白でフリルのたくさん付いたお洋服・・・。
母の趣味だけど一度も着たことは無かった。
カントリーツインのリボンも、白に合わせた。
全身が写る鏡の前で、出来映えを鑑賞する。
しかし・・・少女過ぎる少女趣味だった。
「まあいいわ、いいネタになるし」
あたしは、ひとりごとを言いながら支度を急いだ。
「ごめん、待った?」
案の定、先に由美は先に来て待っててくれた。
由美はあたしを見るなり、異星人を見ているような目で言った。
「どちら様?私はチンドン屋に知り合いは居ませんが」
「もう、意地悪っ」
「あははは、ごめんごめん。だってはるかってばキャハハ」
笑いすぎだよう。そんなに変だったかな。
確かに、由美と外出するときは、ダサい普段着ばかりだった。
今日は、なぜかオシャレをしたい感じだったので
その通りにしただけなのに。もう知らないフンだ。
「はるかどうしちゃったのさ、オシャレなんかして」
「たまには、いいでしょ」
あたしは、まだ不機嫌が直っていない。
その矢先だった。由美の右手があたしのツインの右側のリボンを
下からそっと掬い上げた。「やっ」と思わず小さな声をだしてしまった。
「でも、このトレードマーク(ツインテール)はいつもと一緒だね」
と優しく言った。
あたしは、この言葉に吸い込まれるように、目を丸く見開いて
由美の方を見ていた。

こういう行為が簡単にできる由美は、やはり反則だと思う。
蕨駅で待ち合わせたあたしたちは、大宮まで行くことにした。
そういえば、由美は昨日プライベートとか言ってたけど、
何をしていたのかな。聞いていいのかな。まあタイミングを見て
聞いてみよう。言いたくなかったら言わないと思うし。
そんなことを考えながら、ふと出てきた言葉が
「何たべよっか?」
「えっ」
由美は驚いた。確かにお昼まで、まだ時間はあるし。
「あのね、はるかが参考書買いに行こうって言ったんじゃない」
そういうことか、あたし、またぶっ飛んでた。
そそっかしいとか、そういう問題でもない。
巷ではあたしのようなのを天然と言うらしい。
「ほらはるか、また考え込んでる?前向いて歩きなよ」
あたしは、由美の方を向いて、左手をそっと握ってみた。
「こうすれば安心。テヘッ」
「はあぁぁ。高校生が大宮で手を繋いで歩くかな」
由美は呆れて少し恥ずかしがって居たけれども、
ずっと手を繋いでいてくれた。
参考書は、ルミネにある本屋さんに山積みされていて、
あっさり買うことができた。ついでに前期中間考査のための
問題集まで買うことができた。
「ふっ、同じ問題集を持って居ればはるかに教えてもらえるし」
「それはお互い様でしょう」
成績は二人ともあまり変わらない。まだ入学して2ヶ月も
経って居ないのに、授業のレベルの高さを肌で感じていた。
少しでも怠けていると、置いて行かれる事は自明だった。
「さて、目的は達成したし帰るかな」
由美は、また意地悪を言う。
「なに言ってるのよ、これからが本番よ」
「え゛っ」
「大宮と言えば、スイーツ天国、エキュート内だけでも
数え切れない食べきれないスイーツショップばかり、
こんなところで、一女(いちじょ)お菓子部が素通り
できる訳ないでしょうが」
水を得た魚のように饒舌なあたしに、また始まったと
いわんばかりの顔で呆れかえっている。
「あたしね、あたしね、行きたいお店があるの」
「はいはい、どこへでもついて行きますよ」
「ル・シブヤのマカロンを盗みたい」
「は、はるか、なんてことを」
ル・シブヤは、昔から行きたいお店だった。
フランスで修行したシェフがもの凄く美味しいマカロンを作っているので
一度は食べてみたい、そしてその味を我が手中にイーヒヒヒヒ。
「はるかさあ、素人がプロの味を盗める訳ないでしょう」
「そんなの食べてみないとわからないじゃない」
「作って見ないと・・・じゃないのね。まあいいわ、
私もそのお店知ってるわよ、確かモンブランが有名だったかな。
そんなことより、ランチの時間帯だよね?」
「いいのいいの。女の子はスイーツで出来ているんだから、
スイーツを補給するだけで生きていけるの」
「はるかのそういうところ、たくましいわね・・・」
《ル・シブヤ》
「はるか、そのバックに変な装置を持ってきて無いわよね」
由美は、心配そうな顔であたしに言った。
「糖度計でしょ、携帯スペクトラムアナライザでしょ・・・
ってそんなの持ってくる訳ないじゃない」
「びっくりしたわよ、本当にやりそうだから」
「うん。実は少し考えてた。でもシェフに嫌われたくないし」
「おおお、流石パティシエールの卵だね」
あたしと由美は、味の違うマカロン数個と新栗のモンブラン、
コーヒーと紅茶を注文した。
店内は落ち着いた雰囲気で、白いテーブルがオシャレだ。
なんか、期待いっぱいでわくわくする。
すぐに注文したスイーツが届けられた。


「さて、お味見お味見っと」
「はるか楽しそう」
そう。スイーツを食べるときが一番幸せだ。
あまり推奨出来ないけど盗むと決めた以上、嫌な食べ方をしてみる。
まず、フィリングが浸透していないマカロン自体の味を確かめてみた。
「なにこれ、このアーモンド、おかしいよ」
「おかしいって、何が?」由美は不思議そうな顔をした。
「いいから食べてみて」
「うわ、すごいわね。香ばしいというのを超えているわ」
そう、このアーモンドプードルは、日本では売っていない。
少なくても市販されているものでこんな香りは経験が無い。
このシェフ、原材料をフランスから輸入しているんじゃないだろうか。
チビチビ食べているあたしを差し置いて、ぱっくり食べる由美は
「うわ、このフィリングも絶妙ね」
とか言っている。では、あたしも。
「うん、やっぱりプチマカロンは、パクッと食べてあげないとだね」
「はるか、どう?盗めそう?」
「無理」
即答した。原材料が全然違う。
原材料だけでは無く、何年も修行し磨かれた想いが入った
スイーツなのだ。一筋縄にコピーできるものではない。
「そっか、はるかでも無理か」
「でも、勉強になったよ」
「ほほう、どんな?」
「全菓選はね、原材料持ち込み自由なの。だから
輸入した海外の原材料を使う事もできるのよ」
「なるほど、アーモンドプードルを専門業者から買うのね」
「そう、とりあえず部で先輩に相談してみようね」
《戸田公園》
そのまま蕨に帰ってしまうより、寄り道したかったので
大宮から埼京線で戸田公園に行った。公園と言っても
子供が遊ぶような公園ではなく、荒川沿いの広い敷地が
公園となっている。お散歩をしたいという私のわがままを
由美はすんなりと聞いてくれた。
人通りが殆ど無く、ゆっくりと時間が流れる午後の荒川河川敷。
もの凄くロマンチックな場所だ。
あたしは、「しめた」と思いまたまた由美の手を繋いだ。
由美は、あたしの方を見て、少し悲しい顔をした。
「はるか、私言わなきゃいけない事があるの」
珍しく、由美が真剣だ。あたしのほうが茶化さないと気まずい。
「え?何々?愛の告白ワクワク」
「私ね、はるかとこんな風にデートできないかもしれないの」
一瞬何を言っているのか、わからなくなって、
あたしはその場に立ち止まった。
そうしたら、視界が黒い点々で覆われて、立っても居られなくなった。
「どうしてって聞く事はできるよね?」
変な日本語だった。なんでこんな事になったのだろう。
「私ね、鏡姉えいや、鏡子先輩とお付き合いすることになったの」
「うん」
「前から、付き合おうと言われていて、昨日答えを出したの
私、凄くずるいよね。はるかに早く言わないと、はるかの事
もっと好きになっちゃいそうで、怖いのだから・・・」
由美は、何を言っているのだろう。あたしは、
もう理解があまりできない。平然を保っているはずなのに、
大粒の涙がいっぱい、いっぱい、いっぱい溢れてきた。
しゃがんだままの姿勢で、由美に顔が見えないようにして言った。
「あたし、あたし、由美が好き。本当に好き。
あたしの大好きな人が、好きな人とお付き合い出来るのなら、
応援しないとだね。がんばれ由美」
もう無理だった。あたしは声に出して泣いてしまった。
「お願い由美、抱きついていい?鏡子先輩に怒られないかな」
「いいよ」
「ずっと、お友達で居てね」
「うん」
おかしいな4<おわり>
おかしいな5に続く
それじゃまたね

。゚(T^T)゚。