大気の状態が不安定とは
大気の状態が不安定な時に発生する積乱雲
大気の状態は、大気の鉛直構造を見ることによって判断できます。
次の状態の時、安定なのか不安定なのか分かります。
大気が安定している場合と不安定な場合
そもそも、安定とか不安定というのは、どういう状態を指すのでしょうか?
私は、次のように定義しました。
安定した状態
・放置したり、微細な影響を与えても、変化しない状態
不安定な状態
・放置したり、微細な影響を与えると、状態が変化する
少しわかりにくいので、例を出します。
机の上でコマを回しました。
回転するコマと停止したコマ
左のコマは、回し始めたばかりで直立しています。
右のコマは、回転が止まって停止しています。
これは、ジャイロ効果という現象で、物体が回転しているとき、その状態を維持しようとする力です。
この原理は、私たちが使っているスマートフォンの加速度センサーに使われる技術です。
コマは、軸と机や空気などとの間に摩擦が発生するので、放置していると次第に回転が遅くなって停止してしまいます。
停止したコマは再び動くことはありません。
つまり、左のコマは不安定な状態と言えます。
大気の状態が不安定というのは、まさに左のコマのような状態で、放置したり少しのエネルギーで状態が変化してしまう事をいいます。
では空気の特徴を理解してから、大気が安定している状態と不安定な状態を見ていきましょう。
熱気球が上昇する原理を、習ったと思います。
空気の温度が上がると気体の密度が低くなり、軽くなる・・・
というアレです。
空気塊を温めるとどうなるか?
気象学では、気象現象を、ひとつの空気の塊(空気塊)として扱うことが多いです。
今回もそれを例に、考えてみましょう。
ひとつの空気塊(くうきかい)が、なんらかの原因で温められたらどうなるか?
気体は軽くなり、上昇をします。
本当にそうですか?
実は、この図は重要な前提を省略しています。
何を省略しているか?
それは、この空気塊の「まわりの温度」です。
上昇するためには、「空気塊の温度」より、その「まわりの温度」が低くなくてはなりません。
しかし、「空気塊の温度」より「まわりの温度」が高ければ、空気塊は上昇せず、下に落ちてきます。
このように、気象学では、ひとつにまとまった空気の塊と、そのまわりの温度が重要になってきます。
「空気塊を温めた」=「上昇」という直感的な発想では、大気の動きを見誤る可能性があるのです。
なんか、ツンデレっぽくないですか?
私が気象に萌える理由が、そこにあるのかもしれません。
大きく2種類の大気状態があります。
地上付近が冷たく上空が暖かい構造を大気の状態が安定しているといいます。
反対に、地上付近が暖かく上空が冷たい構造を大気の状態が不安定といいます。
まずは、安定している場合の説明をします。
大気の鉛直構造(気象学では垂直と言わず、鉛直といいます)が、このような状態になっている事を「成層が安定している」とか「絶対安定」とかいう用語で表します。
上空は、とっても寒いイメージですが、実はそうでは無かったのです。
この話は面白いので、後にとっておきますね。
では、仮定の話をします。
大気が安定している状態で太陽輻射を受けた地上付近は、その輻射熱によって空気が暖められます。
すると、小さな空気塊が発生します。
図にしてみます。
大気が安定状態で空気塊発生
空気塊は、図の黄色い部分です。
暖められて黄色になっていますね。
黄色い部分が空気塊、その外側が「まわりの温度」になります。
まわりは青なので空気塊の方が暖かいという訳です。
結果、この空気は上昇を開始します。
どんどん上昇していきます。
でも、上空に行くにつれて「まわりの温度」が高くなっていきます。
安定状態で空気塊が上昇開始
その結果あるときから「空気塊とまわりの温度が同じ」になるので、そこに止まろうとします。
さらに上空は、「空気塊よりまわりの温度が高い」ので
下降する力も加わってきます。
その結果、上昇気流が発生せず、雲が出来ないのですね。
雲一つ無い、澄み切った晴れの空は、絶対安定といえます。
この状態では「上空に行くほど暖かく」なっているのですね。
ちょっと不思議な感覚です。
空を見上げ、澄み切った青空をみると、ああ、あの空の向こうはあったかいんだなぁと思って欲しいです^^
でも、ちょっと待って下さい。
天気予報などで良く出る、富士山の山頂の気温をみて「上空の方が暖かい」とか思えませんよね。
ですが、殆どのとき上空の方が暖かいのですよ♪
それでは、先ほどお預けにしていた話をしてみたいと思います。
富士山山頂の方が暖かいとか何を言っているんだ、はるかは!と思うでしょう。
富士山山頂-10度とか表示されてますもんね。
でもこれって、重要な条件を省略しているのです。
何を省略しているかというと、上空(富士山山頂)の気圧を省略しているのです。
富士山山頂と山麓、気圧が全然違うのです。
地上付近を1000hPaとすると、山頂付近は600~700hPaになります。
気圧が違うと何が違うの?
という感じですが、ごめんなさい、ここで一つの式を書きます。
(難しい話禁止なのですが、これだけは許して)
p=ρRT
(ピー、イコール、ロー、アール、ティ)
p=気圧、ρ=密度、R=気体定数、T=温度
これは、理想気体の状態方程式という式で、気圧は、密度と温度に比例するという簡単な式です。
式を変形して考えると、温度は気圧に比例する事がわかります。
もっとわかりやすく言うと、富士山山頂の気温が-10度だとします。
これを「そのまま地上にもって降りた」らどうなるか?
なんと、山頂からもって降りた空気塊は、25度とかになるのです。
(気圧と温度は比例するので、気圧が上がれば温度が上がる)
これを、周りとの熱を絶って空気塊を圧縮するので断熱圧縮(だんねつあっしゅく)と言います。
-10度から断熱圧縮によって+25度になったので、35度上昇した事になります。
富士山山頂は、3776mなので100mで約1度上がっている感じです。
この割合を、断熱減率といいます。
地上気温が20度であれば、もって降りた山頂の空気塊は25度なので、山頂の方が暖かいという訳です。
ちなみに、飛行機のエアコン、ガンガン掛かってますよね。
あれは、上空250hpa付近の空気を1000hPaに加圧しながら、取り込んでいます。
何が言いたいかというと、取り込んだとき空気の温度は大体40度とかになっているのです。
そのため、真冬でもガンガン冷房を掛けているんですね。
これ、知っているだけで気象博士ですよ(*^O^*)
凄く横道にそれました・・・
富士山山頂など極端な例を出しましたけれど、テレビの天気予報などで使われている地上気温って、気象学で扱うためには、ちょっと問題があることが分かりました。
高度(気圧)に影響してしまうので、大気の流れを扱うには不十分な単位なのです。
そこで考えられたのが「温位」という単位です。
単位というより、大きさですね。
(ちなみに単位はK:ケルビン)
温位は、その空気を地上まで持って降りたら何度になるか?
という単位なので、高度に全く影響されない単位なのです。
上空に行くほど暖かいというのは、温位が暖かいという意味で、受け取ってほしいです。
<はるかのワンポイントレッスン>
少し余談を話します。
成層圏という言葉を聞いたことがありますか?
これは、上の方で言っている「成層が安定している」という言葉から来ている用語なのです。
成層圏では、上空に上がればあがるほど、温度が上昇していきます。
なぜか?
それは、酸素分子と酸素原子が結合してオゾンができる時の化学反応によるエネルギーで熱が発生するからです。
難しいことは、
初夏の紫外線は美容の大敵です
に書いています。
ちなみに、成層圏の一番温度の高いところは、地上から50kmくらいで、0度とかになります。
こうなれば、地上付近で発生した雲はここまで上り詰めるのは困難です。
上空に行けば行くほど暖かくなる層で、常に安定しているので成層圏というのですね。
成層圏が名付けられた時の気象観測技術では、安定しているものというのに疑いは無かったのですが、現在では成層圏にも雲が出来たり結構な対流が発生したりしている事が分かっています。
ところで成層圏より上空は、大気がとても薄いので、空が青く見えません。
飛行機から見た上空は、宇宙の色(青ではなく黒に近くなる)で澄み切っているのです。
※飛行機で窓側に座って必死で空を見上げる女・・・
※かわいそうな人じゃ無いもん(>_<)
※宇宙が好きなんだもん(T_T)
秋晴れのように澄み切った真っ青な空が広がっているとき、大気の状態は安定だと思って良いです。
大気の状態が安定している意味と状態がご理解頂けたら、次の章では不安定の説明です。
大気の状態が不安定の図
低気圧や前線付近、また上空に寒気が流入するなどして大気の鉛直構造が、高度と共に温度が低くなっていく状態を絶対不安定とか、大気の状態が不安定と言います。
この大気の状態が不安定な時、太陽輻射を受けた地上付近は、輻射熱によって空気が暖められます。
暖められた空気は、ひとつの空気塊になって、まとまります。
大気が不安定状態で空気塊発生
空気塊は、図の黄色い部分です。
暖められて黄色になっていますね。
黄色い部分が空気塊、その外側が「まわりの温度」になります。
まわりは青なので空気塊の方が暖かいという訳です。
結果、この空気は上昇を開始します。
不安定状態で空気塊が上昇開始
空気塊は黄色で、まわりの空気は薄黄なので、まわりの空気の方が温度が低いです。
さらに上空に行くほど、まわりの空気の温度が低くなるので、上昇する力が強くなります。
空気塊が上昇することにより、まわりの空気も摩擦で巻き上げられ、さらに上昇して、大規模な上昇気流となります。
不安定状態での上昇気流
そして大気中に溶けている水蒸気が、凝結して水滴となり、雲ができます。
(拡散過程と言います)
大気の状態が不安定な時には、雲ができやすくなり、雨になったりします。
空気塊が上昇する力は、空気塊とまわりの空気の温度の差が大きいほど、大きくなります。
強い上昇気流が発生すると、雨量も多くなり、突風や雹を伴うこともあります。
では、どういった条件で不安定になりやすいか以下にまとめています。
・上空に冷たい寒気が流入してくる
・地上付近に暖かい暖気が流入してくる
・地上が極端に温かくなる
・低気圧や前線付近など
特に、いつもの気温でいつもの天気だと思っていても、上空に寒気が入ってくるだけで、大気の状態が不安定となり、急激な天候変化をもたらします。
また、そのとき発生する積乱雲は、強烈な雷雨をもたらすこともあります。
「上空に寒気」
「湿った暖かい空気」
「大気の状態が不安定」
ニュースや天気予報で、これらの言葉が出てきたときには、気象現象に対して最大限の警戒をするようにしてください。
突風・雹・大雨・洪水・雷、竜巻、ダウンバーストなど
上空に入る寒気が、強ければ強いほど激しい気象現象になります。
ということで大気の状態が不安定というのは、上空には冷たい空気があり、地表付近には暖かい空気があるという異様な状態だという事が理解出来ていれば完璧です。
その指数は、SSI(ショワルター安定指数)と言います。
指数なので周りの環境や擾乱(じょうらん)によって変わってきますから、あくまで参考値になります。
また、高精細ナウキャストやアメダス、また高層天気図、数値予報などと組み合わせることにより、さらに正確に気象現象を予測する事が可能になります。
※現象の予測は誰でもできますが、毎日発表したりする「予報業務」の場合、気象予報士の資格や観測設備また届出などが必要です。
難しい話は置いておいて、まずは見てみましょう。
2018年8月13日の関東のSSI
http://weather-gpv.info/ より引用
この図の黄色や赤色の部分が大気の状態が不安定と言えます。
よって、黄色以上(0やマイナス)になっている地域は警戒が必要だという事です。
では、この指数をどうやって算出したのか、少し専門的な話をします。
「おさらい」から入ります。
大気の状態が不安定な時、「上空に行くほど冷たくなる」と説明しました。
それは、空気塊が持ち上げられた時、上空の温度が低いと空気塊の温度が高くなり、どんどん上昇するからです。
SSIは次のように空気塊を強制的に上昇させて、どうなるか?を観測します。
最初に上空850hPa付近(夏だと1500m程度)の空気塊を、そのまま上空500hPa付近(夏なら5800m程度)に持ち上げます。
そして、その空気の塊が、周りの温度に比べて、どうなるか観測するものです。
観測といっても実際に空気を持ち上げる事はできないため、高層気象観測の数値データなどから算出します。
簡単な公式を書きます。
SSI = 上空5800m付近の温度 - 上空1500m付近の空気を5800mまで持ち上げた温度
ということで、
強制的に上空に持ち上げられた空気が周りの温度より低くなるとプラス
強制的に上空に持ち上げられた空気が周りの温度より高くなるとマイナス
という風になります。
周りの温度よりその空気塊が高ければ、空気はどんどん上昇します。
つまり、マイナスになればなるほど不安定になります。
-3度というのは、かなり大きい数値です。
例えば、5800m付近の温度が-10度と仮定します。
SSIが-3なので、1500m付近から持ち上げられた空気塊は-7度という事になります。
これは、かなり高温の空気なので激しい上昇気流になる事が予測されます。
それではSSIの確認方法です。以下のURLを開いてください。
GPV 気象予報
「地域」で観測したい地域を選択し、「SSI」をプルダウンすることで見る事ができます。
SSIは、いつでも確認できるようにブックマークなどをしておいて、他のガイダンス予測と合わせて利用するのが良いです。
積乱雲がどうして発生するかというのは、既に説明している通りです。
では、その積乱雲の特徴について述べておきましょう。
気象では現象の大きさを
ひとつの積乱雲はミクロスケールの気象現象なのですね。
ガイダンスにあるような予測最小単位で2km四方なのも理解出来ます。
(最近は衛星解像度やアメダスの拠点数、数値予測モデルの正確性から更に高精細に予測出来るようになっています)
ミクロスケールの気象現象は、短期で急変するのが特徴です。
具体的な例を見てみましょう。
時間に追われている時は、タクシーを使ったり傘を買うかも知れません。
でも積乱雲の特徴を知っていると、別の選択肢が生まれます。
気象関係者の間では、雨を降らす雲の塊を降水細胞と呼びます。
細胞を英語でセル(エクセルのセルですね)と呼ぶので降水セルと呼ぶ方もいます。
ひとつの降水細胞の寿命は、長くて20分程度なのです。
なので土砂降りが20分以上続くことはめったにありません。
これを知っているだけで、急な土砂降りが発生したときの対処法に新しい選択肢が生まれました。
しかし、注意してください。
気象には、必ず例外があります。
ひとつの降水細胞が消滅しても、同じ場所に新しい降水細胞が発生する時があるのです。
以下の条件が発生していれば要注意です。
日本では、線状降水帯などの例があるように大災害が発生ます。
ひとつの降水細胞は長くて20分程度ですから、それ以上土砂降りが続く場合は、複数の降水細胞(マルチセル)が影響していると判断できます。
土砂降りの中、時間に余裕があるときは、少し待ってみませんか?
あまりに長く続く場合はマルチセル型だと判断して、気象現象には充分注意してくださいね。
なかでも、プラネタリー波(惑星規模の大きな波動)に連動する梅雨前線、秋雨前線などの停滞前線付近は、梅雨入した直後や梅雨が明ける直前で、上空と下層の大気の状態が不安定になりやすく、多くの災害を引き起こします。
この章では、ひとりでも多くの方の命を救うために、危険を回避するポイントを纏めました。
気象庁や地方自治体から、さまざま注意喚起や警報が発令されます。
ニュースや天気予報でも、同様に注意喚起がされます。
しかし定義はとても難しい(気象庁:警報/特別警報の定義)です。
私のサイトなので、ひとつだけ重要なキーワードを書きます。
大気の状態が不安定です。
またそれか?と思うかも知れません。
しかし気象現象による多くの災害を分析してみると、原因は、大気の状態が不安定になっていることが非常に多いのです。
報道などでこのキーワードを聞きましたら、テレビ、ラジオ、インターネットから、最新の情報を収集するようにしてください。
報道機関や自治体から避難指示がでた場合、必ず避難するようにしてください。
2021年5月法律が改正され、今までわかりにくかった避難勧告という用語は廃止されました。
気象庁の発信する避難指示と避難の仕方について
警戒レベル4以上の場合は、必ず避難してください。
警戒レベル5の場合は、避難する事自体が危険な可能性があります。
既に浸水が始まっている場合は、命を守るためにその場にとどまるか、近隣の高台や鉄筋コンクリート等の安全な建物に避難するのか判断します。
既に浸水が始まっている場合は、どの程度の水深か確認します。
道路上に水深10cm以上の水がきている場合は危険だと認識してください。(とくに夜間は周囲が見えにくくなり、マンホールや側溝に足を取られ亡くなっている方が多数います)
車での避難は、渋滞したり冠水した所を走らなければならない場合があるので危険です。
車中での宿泊は、そのまま流されたりエコノミー症候群になったり、冬季では一酸化炭素中毒になる危険性があるため、避けた方が良いです。
自宅にとどまり就寝する場合は一番高い階で避難ができる準備(服装や最低限の避難装備)をしておきます。
しかし、土石流や地滑りのほとんどが予兆があります。
また周囲の人に知らせて、速やかに安全な場所に避難してください。
やむをえず夜間就寝する場合は、最上階で崖とは反対側の部屋で就寝するようにします。
さらに雨戸やカーテンを必ず閉めます
ガラス片の散乱や土砂の侵入を少しでも軽減してくれます。
このような些細な事が、命を救うので、出来る事は必ず実施してください。
私がおすすめするのは、パソコンやスマホで閲覧できるインターネットです。
以下に2つのサイトを紹介します。
(ブックマークしておくと便利です)
ひとつ目がキキクル(危険度分布)です。
キキクル(気象庁危険度分布)
土砂災害情報、浸水害情報、洪水害情報がボタンで切り替えられるようになっていて、警戒レベル1~5までが色で分かるようになっています。
最新の情報をリアルタイムで表示できますし、過去からの変化も動画で見る事ができます。
ふたつ目が、ハザードマップポータルサイトです。
地方自治体設定したハザードマップを、みることができます。
自分の住んでいる地域や大切なひとが住んでいる地域の情報を確認することもできます。
もし大雨などの予報で実家が心配なときは、大雨にになる前にハザードマップで該当地方の危険度を調べて、大切な人に伝えてみてはどうでしょうか?
ハザードマップポータルサイトは、リアルタイムな情報ではありません。
危険が想定される地域を、あらかじめ地方自治体が設定したものを閲覧できるサイトです。
重ねるハザードマップ
うまく利用して、大切なひとに声をかけてくださいね。
・大気の状態が不安定とは雲ができやすく急激な天候変化が発生しやすい
・大気の状態が不安定な時は、風雨、雷などの気象現象に特別な警戒をする
・SSIが0以下の場合は、大気の状態が不安定だと認識すること
・土砂降りの時時間があれば20分は待ってみる
・避難指示は必ず避難する
・土砂崩れは予兆がある
・最新の気象情報を入手する
はい、面白くなかったですね^^;
あ、オチを忘れていました。
背筋の伸ばして歩く
私は知っているから
重い雲の上は青い空♪
このフレーズが、もの凄く好きです。カラオケで18番ですw
いくら重い雲が広がっていても、私は上空が晴れ渡っていると知っているという素晴らしい歌です。
これは「どんなに薄暗いこころ」を持っている人も「必ず晴ればれしたこころ」を持っているという作詞家のメッセージを忘れてはなりません。
気象に従事する方は、皆さんこういう心を持っていると考えるとなにかいいですね(*^O^*)
ではでは。
- 大気の鉛直(地面から上空)構造を表した用語であり、地上付近に暖かく湿った空気、上空に冷たく乾燥した空気で構成される状態の事を言います。
- 大気の状態が不安定になると上空の冷たく乾燥した空気は下降するエネルギーを、反対に地上付近の暖かく湿った空気は上昇するエネルギーを持つことになり、積乱雲が発達するなど激しい気象現象が発生します。
大気の状態が不安定な時に発生する積乱雲
大気の状態は、大気の鉛直構造を見ることによって判断できます。
次の状態の時、安定なのか不安定なのか分かります。
大気が安定している場合と不安定な場合
目次
そもそも、安定とか不安定というのは、どういう状態を指すのでしょうか?
私は、次のように定義しました。
安定した状態
・放置したり、微細な影響を与えても、変化しない状態
不安定な状態
・放置したり、微細な影響を与えると、状態が変化する
少しわかりにくいので、例を出します。
机の上でコマを回しました。
回転するコマと停止したコマ
左のコマは、回し始めたばかりで直立しています。
右のコマは、回転が止まって停止しています。
これは、ジャイロ効果という現象で、物体が回転しているとき、その状態を維持しようとする力です。
この原理は、私たちが使っているスマートフォンの加速度センサーに使われる技術です。
コマは、軸と机や空気などとの間に摩擦が発生するので、放置していると次第に回転が遅くなって停止してしまいます。
停止したコマは再び動くことはありません。
つまり、左のコマは不安定な状態と言えます。
大気の状態が不安定というのは、まさに左のコマのような状態で、放置したり少しのエネルギーで状態が変化してしまう事をいいます。
では空気の特徴を理解してから、大気が安定している状態と不安定な状態を見ていきましょう。
1.空気の特徴
まず、空気の特徴を考えてみましょう。熱気球が上昇する原理を、習ったと思います。
空気の温度が上がると気体の密度が低くなり、軽くなる・・・
というアレです。
空気塊を温めるとどうなるか?
気象学では、気象現象を、ひとつの空気の塊(空気塊)として扱うことが多いです。
今回もそれを例に、考えてみましょう。
ひとつの空気塊(くうきかい)が、なんらかの原因で温められたらどうなるか?
気体は軽くなり、上昇をします。
本当にそうですか?
実は、この図は重要な前提を省略しています。
何を省略しているか?
それは、この空気塊の「まわりの温度」です。
上昇するためには、「空気塊の温度」より、その「まわりの温度」が低くなくてはなりません。
しかし、「空気塊の温度」より「まわりの温度」が高ければ、空気塊は上昇せず、下に落ちてきます。
このように、気象学では、ひとつにまとまった空気の塊と、そのまわりの温度が重要になってきます。
「空気塊を温めた」=「上昇」という直感的な発想では、大気の動きを見誤る可能性があるのです。
なんか、ツンデレっぽくないですか?
私が気象に萌える理由が、そこにあるのかもしれません。
2.大きく2種類ある大気の状態
大気の状態とは、大気の鉛直構造(地上から上空にかけての気象用語)に分布する空気の温度を解析して判断する用語です。大きく2種類の大気状態があります。
地上付近が冷たく上空が暖かい構造を大気の状態が安定しているといいます。
反対に、地上付近が暖かく上空が冷たい構造を大気の状態が不安定といいます。
まずは、安定している場合の説明をします。
2.1大気の状態が安定
大気の状態が安定の図大気の鉛直構造(気象学では垂直と言わず、鉛直といいます)が、このような状態になっている事を「成層が安定している」とか「絶対安定」とかいう用語で表します。
上空は、とっても寒いイメージですが、実はそうでは無かったのです。
この話は面白いので、後にとっておきますね。
では、仮定の話をします。
大気が安定している状態で太陽輻射を受けた地上付近は、その輻射熱によって空気が暖められます。
すると、小さな空気塊が発生します。
図にしてみます。
大気が安定状態で空気塊発生
空気塊は、図の黄色い部分です。
暖められて黄色になっていますね。
黄色い部分が空気塊、その外側が「まわりの温度」になります。
まわりは青なので空気塊の方が暖かいという訳です。
結果、この空気は上昇を開始します。
どんどん上昇していきます。
でも、上空に行くにつれて「まわりの温度」が高くなっていきます。
安定状態で空気塊が上昇開始
その結果あるときから「空気塊とまわりの温度が同じ」になるので、そこに止まろうとします。
さらに上空は、「空気塊よりまわりの温度が高い」ので
下降する力も加わってきます。
その結果、上昇気流が発生せず、雲が出来ないのですね。
雲一つ無い、澄み切った晴れの空は、絶対安定といえます。
この状態では「上空に行くほど暖かく」なっているのですね。
ちょっと不思議な感覚です。
空を見上げ、澄み切った青空をみると、ああ、あの空の向こうはあったかいんだなぁと思って欲しいです^^
でも、ちょっと待って下さい。
天気予報などで良く出る、富士山の山頂の気温をみて「上空の方が暖かい」とか思えませんよね。
ですが、殆どのとき上空の方が暖かいのですよ♪
それでは、先ほどお預けにしていた話をしてみたいと思います。
富士山山頂の方が暖かいとか何を言っているんだ、はるかは!と思うでしょう。
富士山山頂-10度とか表示されてますもんね。
でもこれって、重要な条件を省略しているのです。
何を省略しているかというと、上空(富士山山頂)の気圧を省略しているのです。
富士山山頂と山麓、気圧が全然違うのです。
地上付近を1000hPaとすると、山頂付近は600~700hPaになります。
気圧が違うと何が違うの?
という感じですが、ごめんなさい、ここで一つの式を書きます。
(難しい話禁止なのですが、これだけは許して)
p=ρRT
(ピー、イコール、ロー、アール、ティ)
p=気圧、ρ=密度、R=気体定数、T=温度
これは、理想気体の状態方程式という式で、気圧は、密度と温度に比例するという簡単な式です。
式を変形して考えると、温度は気圧に比例する事がわかります。
もっとわかりやすく言うと、富士山山頂の気温が-10度だとします。
これを「そのまま地上にもって降りた」らどうなるか?
なんと、山頂からもって降りた空気塊は、25度とかになるのです。
(気圧と温度は比例するので、気圧が上がれば温度が上がる)
これを、周りとの熱を絶って空気塊を圧縮するので断熱圧縮(だんねつあっしゅく)と言います。
-10度から断熱圧縮によって+25度になったので、35度上昇した事になります。
富士山山頂は、3776mなので100mで約1度上がっている感じです。
この割合を、断熱減率といいます。
地上気温が20度であれば、もって降りた山頂の空気塊は25度なので、山頂の方が暖かいという訳です。
ちなみに、飛行機のエアコン、ガンガン掛かってますよね。
あれは、上空250hpa付近の空気を1000hPaに加圧しながら、取り込んでいます。
何が言いたいかというと、取り込んだとき空気の温度は大体40度とかになっているのです。
そのため、真冬でもガンガン冷房を掛けているんですね。
これ、知っているだけで気象博士ですよ(*^O^*)
凄く横道にそれました・・・
富士山山頂など極端な例を出しましたけれど、テレビの天気予報などで使われている地上気温って、気象学で扱うためには、ちょっと問題があることが分かりました。
高度(気圧)に影響してしまうので、大気の流れを扱うには不十分な単位なのです。
そこで考えられたのが「温位」という単位です。
単位というより、大きさですね。
(ちなみに単位はK:ケルビン)
温位は、その空気を地上まで持って降りたら何度になるか?
という単位なので、高度に全く影響されない単位なのです。
上空に行くほど暖かいというのは、温位が暖かいという意味で、受け取ってほしいです。
<はるかのワンポイントレッスン>
少し余談を話します。
成層圏という言葉を聞いたことがありますか?
これは、上の方で言っている「成層が安定している」という言葉から来ている用語なのです。
成層圏では、上空に上がればあがるほど、温度が上昇していきます。
なぜか?
それは、酸素分子と酸素原子が結合してオゾンができる時の化学反応によるエネルギーで熱が発生するからです。
難しいことは、
初夏の紫外線は美容の大敵です
に書いています。
ちなみに、成層圏の一番温度の高いところは、地上から50kmくらいで、0度とかになります。
こうなれば、地上付近で発生した雲はここまで上り詰めるのは困難です。
上空に行けば行くほど暖かくなる層で、常に安定しているので成層圏というのですね。
成層圏が名付けられた時の気象観測技術では、安定しているものというのに疑いは無かったのですが、現在では成層圏にも雲が出来たり結構な対流が発生したりしている事が分かっています。
ところで成層圏より上空は、大気がとても薄いので、空が青く見えません。
飛行機から見た上空は、宇宙の色(青ではなく黒に近くなる)で澄み切っているのです。
※飛行機で窓側に座って必死で空を見上げる女・・・
※かわいそうな人じゃ無いもん(>_<)
※宇宙が好きなんだもん(T_T)
秋晴れのように澄み切った真っ青な空が広がっているとき、大気の状態は安定だと思って良いです。
大気の状態が安定している意味と状態がご理解頂けたら、次の章では不安定の説明です。
2.2大気の状態が不安定
次に大気の状態が不安定の説明をします。大気の状態が不安定の図
低気圧や前線付近、また上空に寒気が流入するなどして大気の鉛直構造が、高度と共に温度が低くなっていく状態を絶対不安定とか、大気の状態が不安定と言います。
この大気の状態が不安定な時、太陽輻射を受けた地上付近は、輻射熱によって空気が暖められます。
暖められた空気は、ひとつの空気塊になって、まとまります。
大気が不安定状態で空気塊発生
空気塊は、図の黄色い部分です。
暖められて黄色になっていますね。
黄色い部分が空気塊、その外側が「まわりの温度」になります。
まわりは青なので空気塊の方が暖かいという訳です。
結果、この空気は上昇を開始します。
不安定状態で空気塊が上昇開始
空気塊は黄色で、まわりの空気は薄黄なので、まわりの空気の方が温度が低いです。
さらに上空に行くほど、まわりの空気の温度が低くなるので、上昇する力が強くなります。
空気塊が上昇することにより、まわりの空気も摩擦で巻き上げられ、さらに上昇して、大規模な上昇気流となります。
不安定状態での上昇気流
そして大気中に溶けている水蒸気が、凝結して水滴となり、雲ができます。
(拡散過程と言います)
大気の状態が不安定な時には、雲ができやすくなり、雨になったりします。
空気塊が上昇する力は、空気塊とまわりの空気の温度の差が大きいほど、大きくなります。
強い上昇気流が発生すると、雨量も多くなり、突風や雹を伴うこともあります。
では、どういった条件で不安定になりやすいか以下にまとめています。
・上空に冷たい寒気が流入してくる
・地上付近に暖かい暖気が流入してくる
・地上が極端に温かくなる
・低気圧や前線付近など
特に、いつもの気温でいつもの天気だと思っていても、上空に寒気が入ってくるだけで、大気の状態が不安定となり、急激な天候変化をもたらします。
また、そのとき発生する積乱雲は、強烈な雷雨をもたらすこともあります。
「上空に寒気」
「湿った暖かい空気」
「大気の状態が不安定」
ニュースや天気予報で、これらの言葉が出てきたときには、気象現象に対して最大限の警戒をするようにしてください。
突風・雹・大雨・洪水・雷、竜巻、ダウンバーストなど
上空に入る寒気が、強ければ強いほど激しい気象現象になります。
ということで大気の状態が不安定というのは、上空には冷たい空気があり、地表付近には暖かい空気があるという異様な状態だという事が理解出来ていれば完璧です。
3.大気の状態をSSIで確認しよう
大気の状態が、安定しているか不安定になっているかを簡単に指数で見ることができます。その指数は、SSI(ショワルター安定指数)と言います。
指数なので周りの環境や擾乱(じょうらん)によって変わってきますから、あくまで参考値になります。
また、高精細ナウキャストやアメダス、また高層天気図、数値予報などと組み合わせることにより、さらに正確に気象現象を予測する事が可能になります。
※現象の予測は誰でもできますが、毎日発表したりする「予報業務」の場合、気象予報士の資格や観測設備また届出などが必要です。
難しい話は置いておいて、まずは見てみましょう。
2018年8月13日の関東のSSI
http://weather-gpv.info/ より引用
この図の黄色や赤色の部分が大気の状態が不安定と言えます。
よって、黄色以上(0やマイナス)になっている地域は警戒が必要だという事です。
では、この指数をどうやって算出したのか、少し専門的な話をします。
「おさらい」から入ります。
大気の状態が不安定な時、「上空に行くほど冷たくなる」と説明しました。
それは、空気塊が持ち上げられた時、上空の温度が低いと空気塊の温度が高くなり、どんどん上昇するからです。
SSIは次のように空気塊を強制的に上昇させて、どうなるか?を観測します。
最初に上空850hPa付近(夏だと1500m程度)の空気塊を、そのまま上空500hPa付近(夏なら5800m程度)に持ち上げます。
そして、その空気の塊が、周りの温度に比べて、どうなるか観測するものです。
観測といっても実際に空気を持ち上げる事はできないため、高層気象観測の数値データなどから算出します。
簡単な公式を書きます。
SSI = 上空5800m付近の温度 - 上空1500m付近の空気を5800mまで持ち上げた温度
ということで、
強制的に上空に持ち上げられた空気が周りの温度より低くなるとプラス
強制的に上空に持ち上げられた空気が周りの温度より高くなるとマイナス
という風になります。
周りの温度よりその空気塊が高ければ、空気はどんどん上昇します。
つまり、マイナスになればなるほど不安定になります。
-3度というのは、かなり大きい数値です。
例えば、5800m付近の温度が-10度と仮定します。
SSIが-3なので、1500m付近から持ち上げられた空気塊は-7度という事になります。
これは、かなり高温の空気なので激しい上昇気流になる事が予測されます。
それではSSIの確認方法です。以下のURLを開いてください。
GPV 気象予報
「地域」で観測したい地域を選択し、「SSI」をプルダウンすることで見る事ができます。
SSIは、いつでも確認できるようにブックマークなどをしておいて、他のガイダンス予測と合わせて利用するのが良いです。
4.積乱雲について知っておきたいこと
大気の状態が不安定な時、発生する積乱雲はリンクしている章で説明している通り、とても危険な気象現象を引き起こします。積乱雲がどうして発生するかというのは、既に説明している通りです。
では、その積乱雲の特徴について述べておきましょう。
気象では現象の大きさを
- ミクロスケール(~2km)
- メソスケール(~2000km)
- マクロスケール(~10000km)
ひとつの積乱雲はミクロスケールの気象現象なのですね。
ガイダンスにあるような予測最小単位で2km四方なのも理解出来ます。
(最近は衛星解像度やアメダスの拠点数、数値予測モデルの正確性から更に高精細に予測出来るようになっています)
ミクロスケールの気象現象は、短期で急変するのが特徴です。
具体的な例を見てみましょう。
例えば急な土砂降りが発生したとき、傘も持っていません。
あなたならどうしますか?
時間に追われている時は、タクシーを使ったり傘を買うかも知れません。
でも積乱雲の特徴を知っていると、別の選択肢が生まれます。
気象関係者の間では、雨を降らす雲の塊を降水細胞と呼びます。
細胞を英語でセル(エクセルのセルですね)と呼ぶので降水セルと呼ぶ方もいます。
ひとつの降水細胞の寿命は、長くて20分程度なのです。
なので土砂降りが20分以上続くことはめったにありません。
これを知っているだけで、急な土砂降りが発生したときの対処法に新しい選択肢が生まれました。
しかし、注意してください。
気象には、必ず例外があります。
ひとつの降水細胞が消滅しても、同じ場所に新しい降水細胞が発生する時があるのです。
以下の条件が発生していれば要注意です。
- 湿った暖かい空気が供給され続ける
- 近くに別の降水細胞がある
- 地形によって上昇流/下降流が発生しやすい
日本では、線状降水帯などの例があるように大災害が発生ます。
ひとつの降水細胞は長くて20分程度ですから、それ以上土砂降りが続く場合は、複数の降水細胞(マルチセル)が影響していると判断できます。
土砂降りの中、時間に余裕があるときは、少し待ってみませんか?
あまりに長く続く場合はマルチセル型だと判断して、気象現象には充分注意してくださいね。
5.台風・大雨などで注意すること
大気の状態が不安定になりやすい条件は、台風、(爆弾)低気圧、前線付近などです。なかでも、プラネタリー波(惑星規模の大きな波動)に連動する梅雨前線、秋雨前線などの停滞前線付近は、梅雨入した直後や梅雨が明ける直前で、上空と下層の大気の状態が不安定になりやすく、多くの災害を引き起こします。
この章では、ひとりでも多くの方の命を救うために、危険を回避するポイントを纏めました。
気象庁や地方自治体から、さまざま注意喚起や警報が発令されます。
ニュースや天気予報でも、同様に注意喚起がされます。
しかし定義はとても難しい(気象庁:警報/特別警報の定義)です。
私のサイトなので、ひとつだけ重要なキーワードを書きます。
大気の状態が不安定です。
またそれか?と思うかも知れません。
しかし気象現象による多くの災害を分析してみると、原因は、大気の状態が不安定になっていることが非常に多いのです。
報道などでこのキーワードを聞きましたら、テレビ、ラジオ、インターネットから、最新の情報を収集するようにしてください。
洪水・浸水の対策
洪水や浸水の発生が予測されている、あるいは既に発生している場合、最新の情報収集をするようにしてください。報道機関や自治体から避難指示がでた場合、必ず避難するようにしてください。
2021年5月法律が改正され、今までわかりにくかった避難勧告という用語は廃止されました。
気象庁の発信する避難指示と避難の仕方について
警戒レベル4以上の場合は、必ず避難してください。
警戒レベル5の場合は、避難する事自体が危険な可能性があります。
既に浸水が始まっている場合は、命を守るためにその場にとどまるか、近隣の高台や鉄筋コンクリート等の安全な建物に避難するのか判断します。
既に浸水が始まっている場合は、どの程度の水深か確認します。
道路上に水深10cm以上の水がきている場合は危険だと認識してください。(とくに夜間は周囲が見えにくくなり、マンホールや側溝に足を取られ亡くなっている方が多数います)
車での避難は、渋滞したり冠水した所を走らなければならない場合があるので危険です。
車中での宿泊は、そのまま流されたりエコノミー症候群になったり、冬季では一酸化炭素中毒になる危険性があるため、避けた方が良いです。
自宅にとどまり就寝する場合は一番高い階で避難ができる準備(服装や最低限の避難装備)をしておきます。
土砂崩れ・地滑り・土石流・鉄砲水の対策
避難に関しては、洪水対策と同様です。しかし、土石流や地滑りのほとんどが予兆があります。
- ひび割れ・陥没
- 湧き水、湧き水のにごり
- 普段とは聞き慣れない音
- 異臭がする
- 樹木が傾く
- 小石が落ちてくる
また周囲の人に知らせて、速やかに安全な場所に避難してください。
やむをえず夜間就寝する場合は、最上階で崖とは反対側の部屋で就寝するようにします。
さらに雨戸やカーテンを必ず閉めます
ガラス片の散乱や土砂の侵入を少しでも軽減してくれます。
このような些細な事が、命を救うので、出来る事は必ず実施してください。
最新情報を入手しよう
テレビ・ラジオ・インターネット等から最新の情報を取得するようにします。私がおすすめするのは、パソコンやスマホで閲覧できるインターネットです。
以下に2つのサイトを紹介します。
(ブックマークしておくと便利です)
ひとつ目がキキクル(危険度分布)です。
キキクル(気象庁危険度分布)
土砂災害情報、浸水害情報、洪水害情報がボタンで切り替えられるようになっていて、警戒レベル1~5までが色で分かるようになっています。
最新の情報をリアルタイムで表示できますし、過去からの変化も動画で見る事ができます。
ふたつ目が、ハザードマップポータルサイトです。
地方自治体設定したハザードマップを、みることができます。
自分の住んでいる地域や大切なひとが住んでいる地域の情報を確認することもできます。
もし大雨などの予報で実家が心配なときは、大雨にになる前にハザードマップで該当地方の危険度を調べて、大切な人に伝えてみてはどうでしょうか?
ハザードマップポータルサイトは、リアルタイムな情報ではありません。
危険が想定される地域を、あらかじめ地方自治体が設定したものを閲覧できるサイトです。
重ねるハザードマップ
うまく利用して、大切なひとに声をかけてくださいね。
まとめと注意点
・大気の状態が安定とは雲ができにくい状態・大気の状態が不安定とは雲ができやすく急激な天候変化が発生しやすい
・大気の状態が不安定な時は、風雨、雷などの気象現象に特別な警戒をする
・SSIが0以下の場合は、大気の状態が不安定だと認識すること
・土砂降りの時時間があれば20分は待ってみる
・避難指示は必ず避難する
・土砂崩れは予兆がある
・最新の気象情報を入手する
はい、面白くなかったですね^^;
あ、オチを忘れていました。
背筋の伸ばして歩く
私は知っているから
重い雲の上は青い空♪
このフレーズが、もの凄く好きです。カラオケで18番ですw
いくら重い雲が広がっていても、私は上空が晴れ渡っていると知っているという素晴らしい歌です。
これは「どんなに薄暗いこころ」を持っている人も「必ず晴ればれしたこころ」を持っているという作詞家のメッセージを忘れてはなりません。
気象に従事する方は、皆さんこういう心を持っていると考えるとなにかいいですね(*^O^*)
ではでは。
コメント一覧
わたしの地方では「狐の嫁入り」とかいいますが、
気象現象のツンデレって結構素敵なお話があるような気がします。
ありがとうございます(o^^o)
この分野は学習し始めたばかりなので
自分のお勉強にも役立っています^^
上空の温度は、https://n-kishou.com/ee/exp/exp01.html?cd=fxjp854&cat=e2こういったサイトで見ることができます。
相当温位なので、私が説明している温位に水蒸気のエントロピーを加味した数値です。
ケルビン表示ですから、273度が0度です。今見ると東京で283度ですから+10度という事で暖かいですよね。
また、大気安定度はSSI(ショワルター安定指数)という指標で簡単に見ることができます。
気温勾配について大規模大気特論のテキストを読んでも全くのちんぷんかんぷんでしたが、はるかさんの解説のおかげでおバカな自分でもしっかり理解できました。10月の試験頑張りたいと思います。ありがとうございました。
私の記事で参考になったようで、嬉しいです。
10月の試験は、公害防止管理者でしょうか、気象予報士でしょうか?
いずれにしても、社会課題を解決する省庁の資格ですので、試験頑張ってくださいね(*≧∀≦)ゞ
下降気流についても説明していただけるとありがたいです
たしかに上昇気流ばかりで下降気流のはなしが無いですね(T_T)
エマグラムや断熱減率の説明も必要ですね。
すこし考えてみます。
空気塊は黄色で、まわりの空気は薄黄なので、まわりの空気の方が温度が低いです。
さらに上空に行くほど、まわりの空気の温度が低くなるので、上昇する力が強くなります。
以上引用
のところですが、図の中の「まわりの空気の温度が高い」は「低い」の間違いではないでしょうか。
高評価ありがとうございます(〃ω〃)
高層断面図についてですが、検索しても詳しいのが出てこないですね^^;
読み方は、高層観測の立体構造の理解ですからかなり上級だと思いますよ。
経度140度高層断面図
(IMOCより引用)
とりあえず今日のAXJP140に赤書きしてみました。
上空に寒気だけではなく乾燥していると不安定になる原因を教えて下さい
こんばんは。
空気塊の持つエネルギーは、気温や気圧だけではなく水蒸気も重要な要素です。
乾燥した空気と湿潤した空気が同じ高度で同じ温度だった場合、湿潤した空気の方が潜熱をもっているため、若干の擾乱で上昇する可能性が高くなります。
学習で相当温位(湿潤した空気を完全に乾燥させた温位)というのが出てきたと思います。
相当温位差により、不安定度が高くなるという感じです。
ただ寒気が入ってくるような上空で湿潤というのはあまり無いので、「乾燥した」というのはちょっと専門的な話でしたね。(既に上昇段階で水蒸気が凝結/落下して失われている)
10万年ごとに繰り返されるサイクル
を見れば一目瞭然ですが、地球の平均気温なんて海面が120mの上下するほど変動しています。
つまり5cmだ、1mだと言っている現在は、所詮「人間中心理論」なんです。
「自然にとって」とか「宇宙船地球号」とかいうのは、気象変動にとって髪の毛一本も無いような微細なミクロスケールを追っている訳です。
つまり、温暖化に向かっているという具体的な根拠が正しいかどうか現在の人類には、検証する理論を持っていないと想定しています。
かといって、有害物質やCo2、さらにはオゾン層破壊による環境変化を起こして良いと言っているわけではありません。
人類の生存にとって住みやすい世界になるといいですね。
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